犬猫のタマネギ中毒 原因は?どんな症状?中毒量、治療法は?

先日スーパーマーケットで新玉ねぎが売られているのを見かけました。

そんな時期なんですね。タマネギ美味しいですよね。最近値段が高くて辛いです(泣)

さて、タマネギといえばチョコレートと並んで動物病院に問い合わせが多い犬猫NGフードです。

タマネギを丸かじりする子は少ないですが、タマネギの入った食品を食べてしまったというパターンはめちゃくちゃ多いです。

時々生のまま食べてしまう子もいますが・・・。

タマネギを食べたらどんな症状が出るの?

食べてしまったらどうすればいいの?

今日はタマネギ中毒について解説していきます。

原因

タマネギ中毒はタマネギに含まれる有機硫黄化合物であるアリルプロピルジスルフィドという物質がグルタチオンと反応し、赤血球膜に障害を与えて壊すことに起因します。

タマネギだけではなく、ネギやニンニク、ニラ、ラッキョウなどネギ属に注意が必要です。

症状

赤血球が壊されるので貧血が生じます。

赤血球の膜が破壊されることを“溶血”と言い、タマネギ中毒による貧血は“溶血性貧血”といいます。
さらに言うとハインツ小体性溶血性貧血ということもあります。

ハインツ小体というのは赤血球の中のヘモグロビンが酸化、変性したものです。

ハインツ小体が形成された赤血球は血管内から除去されていきます。

貧血はタマネギ摂取後すぐには現れません。

ハインツ小体はタマネギを摂取してから6〜24時間後に観察されるといいます。

貧血はタマネギを摂取した数日後から現れます

よく「数時間前にタマネギを少し食べちゃった。でも症状は何も無いです」というように、やや安心した感じで動物病院に来られることがありますが、この時点で安心するのは早いです。

食べた量にもよると思いますが、症状はすぐに出るとは限りません。

症状としては貧血が有名ではありますが、貧血を主訴に動物病院へ来るというより、嘔吐や下痢がみられたり、血尿を主訴に来院したりします。

タマネギ中毒は赤い尿が出ることがあります。

赤血球が壊れることで、赤血球の色素が尿に出てくるので赤い尿が出ます。

しかし厳密には血尿ではなく、血色素尿といいます。

ふだん診察していて血尿というと、膀胱炎や尿石症などが原因であることが多いです。

特に膀胱炎での血尿の場合、少量・頻回尿を伴うことが多いです。

過去に血尿を主訴に来院した犬がいました。
診察を始める前に、頭に思い浮かべたのは膀胱炎や尿石症でした。
しかし、問診の段階で「少量頻回尿」、「何度も排尿姿勢をとる」などの膀胱炎らしき特徴があまりなく、診察を進めていくと、口腔粘膜の色が白く、調べてみると重度の貧血、血尿も正しくは血尿ではなく血色素尿でした。
ぐったりして死にかけましたが数日で元気になりました。
はっきりと原因はわかりませんでしたが、食事にネギ類が含まれていた可能性がありました。

アリルプロピルジスルフィドは熱にも安定なため、加熱処理してあっても有害であることに変わりはありません。

オニオンリング、タマネギ入りの味噌汁、スープ、ハンバーグなどなど、普段の生活にネギ類を使用することは多いと思いますので気を付けてください。

猫はネギ類を食べて動物病院に来ることは少ないですが、犬はとても多いです。

盗み食いが特に多いです。

中毒量

中毒量は犬でタマネギ5~30g/kg、猫で5g/kgです。

ちなみにタマネギの一般的な大きさは1つ約200gです。

しかし個体差があり、少量でも中毒症状が出る子、たくさん食べても症状が出ない子がいます。

犬種が同じでも中毒量には差があります。

ちなみに、柴犬や秋田犬などの日本犬は他の犬種に比べて酸化障害に弱いタイプの赤血球を持っており、ネギ類を摂取した時に溶血が生じやすい可能性があるので特に注意が必要です。

柴犬

また、猫は他の動物よりも感受性が高いといわれています。

治療

ネギ類に特異的な解毒剤はありません。

基本は吐かせて胃の中のタマネギを回収することと支持療法になります。

摂取後2時間以内程度であればまだ胃の中に残っている可能性もあるので積極的に吐かせる処置をおすすめします。

動物病院で処置をしてもらってください。
たまに家で塩を飲ませて嘔吐を誘発させたという方がいるのですが、危険なのであまりおすすめしません。

さらに吐かせた後に活性炭を飲ませることで、消化管に残っているタマネギの成分を少しでも炭に吸着させて体内に吸収されないようにします。

貧血が出ている場合は、程度によっては酸素吸入や輸血が必要になります。

動物病院にもよりますが、犬の輸血は簡単にはできません。

まず輸血する血液のストックを持っている動物病院がそう多くないです。

供血犬がいる動物病院であれば輸血してもらえるかもしれませんが、場合によっては自分で血液を分けてくれる犬を探さなければいけないこともあります。

自分の家に同居犬がいれば輸血できるかもしれないですし、そうでなければ犬を飼っている知人などに協力をお願いしてみましょう。

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