フレンチブルドッグってどんな犬?

名前にフレンチとある通り、フレンチブルドッグの原産国はフランスです。

1800年代にイギリスから小さめのブルドックを輸入し、パグやテリア犬と交配させて誕生したと言われています。

アニコム損害保険株式会社が2023年1月に発表した人気犬種ランキングによると、フレンチブルドッグは8位にランクインしている人気犬種です。

中型犬に的を絞ると柴犬に次いで2位です。

街中でもよく見かけますし、動物病院にも毎日数頭は来院します。

フレンチブルドッグとはどんな犬なのか、ふだんフレンチブルドッグと接してみて感じることを盛り込みながらお話していきます。

これからフレンチブルドッグを飼おうか検討している方や、現在飼育中という方にも参考になればいいなと思います。

どんな性格?

性格は個体差がありますが、元気で明るい性格をしている子が多い印象があります。

好奇心が旺盛で、面白いことに、他の犬種と比較してなぜか動物病院が好きな子が多いです。

動物病院というとワクチンをうたれたりして嫌な思いをしたことを覚えている子が多く、ほとんどの犬や猫が動物病院を嫌っています。

犬の場合はいつもの散歩だと思って喜んで家を出発したのに、散歩途中でいつもと道が違う、動物病院へ行く道を歩いていると気づいた瞬間足取りが重くなるなんてこともあると思います。

動物病院の前までは歩いてきたが病院の中や診察室には入りたがらないという子も多いです。

しかし、フレンチブルドッグは喜んで診察室に入ってくることが他の犬種と比較して多い気がします。

診察が終わって待合室に出た後も、診察室の扉が開くと再び入ろうとしたり。

注射をうった後で痛い思いをしたはずなのに、そんなことは関係なく診察室に戻ろうとしたりします。

用事がないのに散歩途中に動物病院へ行きたがり、病院の前から動かなくなって最後は飼い主さんに引きずられて帰って行くなんてパターンもあります。

もちろん動物病院が嫌いなフレンチブルドッグもいますが、動物病院が好きで喜んで院内に入ってくる犬種では1位だと思います。

とてもフレンドリーで愛嬌がある犬種だと思います。

愛嬌があると言えば、フレンチブルドッグは診察中にオナラをする犬種1位かもしれません。

「ブッ」とオナラします。すかしっぺの時もあります。どちらにしても臭いです(笑)

体の特徴

理想的なサイズは

体高:オス…27~35cm、メス…24~32cm

体重:オス…9~14㎏、メス…8~13㎏ とされています。

筋肉質で、体の大きさの割には体重がずっしりと重いです。

毛色はフォーン、ブリンドル、パイドなどの種類があります。

フォーン↓

ブリンドル↓

パイド↓

短毛で、毛玉の管理が大変な長毛種に比べると被毛のお手入れは楽でしょう。
ただし、抜け毛は多いです。

特徴の一つである大きな耳はバットイヤー(コウモリ耳)と呼ばれ、根元が幅広く、先端は丸みを帯びています。

鼻は短く、短頭種の代表犬種です。

外鼻孔がしっかり広がっているのが理想。

鳴き声も少し風変りなことがあります。

「ガウガウ!」「アウアウ!」と吠える以外に、高めの声で「ウェェェ~~ン」「メェェェ~~~」「アウァ~ウワ~ゥ」「ワァ~~~ゥワァ~~~ゥ」みたいな、まるで人が叫んでいるか歌っているような変な声を出すことがあり、その奇声により時々笑わせてくれます。

これもフレンチブルドッグの魅力の一つかもしれませんね。

フレンチブルドッグに多い疾患

フレンチブルドッグはわりと病気やトラブルが多い犬種かもしれません。

寿命も他の犬種と比べて特に長く生きるという印象は無いですし、短命な犬種と言われることもあります。

どのようなことでふだんフレンチブルドッグを診察することが多いか思い返してみます。

異物誤食

遊び好きな性格からか、いたずらをすることやおもちゃなどの異物を飲み込んでしまったという事例がよくあります。

犬の誕生日パーティーをしていてパーティーグッズを飲み込んで来院したケースもあります。

吐かせるとパーティーでよく見る三角の帽子に付いていたであろうキラキラの飾りが出てきました。

本人の誕生日で楽しかったんでしょうが、病院へ運ばれてなかなか災難な誕生日です。

吐かせて出てきたのが不幸中の幸いで、緊急手術で胃切開なんて大事にならなくて良かったなと思います。

一度異物を食べた子は繰り返すことも多いです。

え、また!? という会話をよくするような…。

フレンチブルドッグに限らずですが、何でそんな物を食べたの!?美味しくないでしょ!?って思うような意外な物を犬は時に食べてしまいます。

近年だとコロナの影響で使うことが多い不織布マスクを食べてしまう事例も。

他にも、靴下、小銭、湿布、消しゴム、ボールペン、ファスナー、爪楊枝などなど、あらゆる物を飲み込みます。

いたずらしないようにお気を付けください。

麻酔をかけて内視鏡で取り出せたならまだ良い方で、手術で胃や腸を切開することになった場合は入院も必至ですし、結構な治療費がかかります。

おまけにフレンチブルドッグは解剖学的に呼吸が下手な犬種ですので、麻酔をかける際のリスクが他の犬種よりも高いです。

留守番中にいたずらすることもあれば、人が近くにいても食べてしまう時は一瞬の出来事で防げないかもしれません。

飲み込んだらいけないものは届くところに置かないようにする、おもちゃとして与えないようにするなど、ふだんから誤食は意識しておいた方がいいでしょう。

過去に誤食事件を起こしている子は特に注意です。

気をつけないといつか死にます。

短頭種気道閉塞症候群

軟口蓋過長、外鼻孔狭窄、喉頭室外反、喉頭虚脱、気管低形成、気管虚脱などいくつかの病気が合わさって起こる病気で、いびき、開口呼吸、呼吸困難、チアノーゼなどがみられます。

呼吸が苦しいので頑張って空気を吸おうとすることにより、軟口蓋の炎症や過長などが起き、さらに鼻孔も狭くなって、またさらに空気を吸おうとして悪化していきます。

昔からいびきをかいていると、それが普通だと思ってしまう飼い主さんもいるかもしれませんが、外科的に原因となっている部位を矯正してあげる必要があるかもしれません。

時間が経つほど病態は複雑になっていきますので、早めに治療した方がいいです。

先ほど少し述べましたが、呼吸に異常がある犬の手術は麻酔に大きなリスクが伴います。

かかりつけでの手術が難しく、大学病院や二次診療施設へ紹介となることもあるでしょう。

熱中症

フレンチブルドッグは熱中症になりやすいです。

特にテンションの高い性格の子は危険です。

一人で興奮して体温を測定すると43℃くらいまで上がっていた子を見たことがあります。

嘔吐してぐったりして死にかけました。

犬はパンティングすることにより体温を調節しますが、フレンチブルドッグは解剖学的に呼吸器に問題があったりで、体温調節が下手です。

そのくせに元気で興奮しやすいタイプの子が多いので、あっという間に熱中症になってしまいます。

夏は特に注意です。

お散歩に行く時間帯に注意したり、首に保冷剤を巻いてあげたり、こまめに水分摂取させるなど、対策を取りましょう。

家の中で過ごす場合でも熱中症になることがあるので室温にも気を配る必要があります。

熱中症については過去に記事を書いていますので、ぜひそちらも参考にどうぞ。
早めに気をつけてほしい! 熱中症のお話

アレルギー性皮膚炎

皮膚の痒みに悩んでいるフレンチブルドッグもたくさん見ます。

アレルギー体質で皮膚が弱いことにより、そこから細菌感染を起こして膿皮症という皮膚病になるというパターンもよく見かけます。

アレルギーは体質ですので根本的な解決はなかなか難しいです。

薬用シャンプーなどの日常ケアや食事内容の見直し、外用薬、内服薬などを組み合わせてコントロールしていきます。

皮膚関係で言うと、外耳炎を発症している子もよく見かけます。

また、フレンチブルドッグは顔に皴が多い犬種です。

皴の間が蒸れやすく、炎症を起こしている子も多く見かけます。

フレンチブルドッグを飼ったら定期的に皴の間を清潔に拭いてあげることをおすすめします。

尻尾の周辺のくぼみにも汚れが溜まりやすいので、お掃除してあげてください。

脊椎・脊髄の異常

フレンチブルドッグは先天的に背骨に異常を持っていることが多いです。

レントゲンを撮ると、個体差はあるものの、大抵の子が背骨の形が悪く、きれいな形の背骨を持つ子はほとんど見たことがないくらいです。

脊椎骨の中には脊髄が通っています。

つまり、背骨の形が悪いと、そこから神経系に影響が出ることがあります。

若いうちは症状が出ないかもしれませんが、年を取るにつれて元々悪い脊椎骨はより変形がひどくなります。

後ろ足の動きが徐々に悪くなって、下半身が麻痺してしまう子もいます。

後ろ足の動きが悪いので、前足を主に使って歩こうとして、上半身の筋肉がムキムキになり、
逆に使わない下半身は瘦せ細り、アンバランスな体型になる子も。

下半身を地面に引きずって歩くことで皮膚に傷ができてしまうこともあります。

角膜損傷

眼の露出度が高い顔の形をしているので、角膜を損傷しやすいです。

好奇心が高い性格をしているので、勢いよく色々なところに顔を突っ込んでいくかもしれません。
ぶつからないように注意が必要です。

他の犬と遊んでいて傷つけることもあります。

悪性腫瘍

特に腫瘍が多いと感じる訳ではありませんが、個人的な経験では血管肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫などに罹患したフレンチブルドッグが思い浮かびます。

フレンチブルドッグを2頭飼育しているお家で、一頭はリンパ腫で亡くなり、もう一頭は血管肉腫で亡くなったことがありました。
これらの腫瘍は様々な犬種で見られますし、珍しい腫瘍ではないです。
でも確率的にはそんなに当たらない病気です。
たまたまと言えばそうなのかもしれませんが、フレンチブルドッグも例外ではなく腫瘍が発生する犬種かなと思います。

他にも何かと珍しい病気に罹患したり、年齢がまだ若いのに突然亡くなってしまう子がいたり、比較的病気が多い犬種かなと感じます。
大きな病気をせずに老衰で亡くなる子が少ない気がします。

病気が多いとしても、やはり愛嬌のある犬種ですので、一緒に生活すると日常に彩を与えてくれることは間違いないと思います。

一度フレンチブルドッグを飼育したことがある人は、その子が天国へ旅立った後、しばらくして再びフレンチブルドッグを飼い始めたりします。

同じ犬種を続けて選ぶ飼い主さんは結構多いですが、フレンチブルドッグにハマる飼い主さんは特に多いように感じます。

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