こんにちは。
3月に入りましたね。
狂犬病予防接種の年度が令和6年度に切り替わりました。
もうすぐ役所から犬を飼っているお家へ狂犬病予防接種の手紙が発送されると思われます。
ドキドキ…忙しくなるぞ…。
新しく犬をお家に迎えた方はお住まいの市に犬の登録を忘れないようにしましょう。
生後91日を過ぎたら登録するという決まりがあります。
登録していないと狂犬病予防接種のお知らせも届きません。
さてさて、犬を飼うと言えば、現在私は犬を飼っていませんが、子どもの頃に飼いたいと憧れていた犬がいます。
それは、
シェパード!!
ジャーマンシェパードを飼ってみたいと憧れていました。
それからホワイトシェパードもカッコいいなぁと思っていました。
小学生の頃、ペット博に行きました。
そこでホワイトシェパードが展示されていて初めて見てテンションが上がったのを覚えています。
ジャーマンシェパードはトイプードルやチワワなどと比べると飼っている人が多くないので、見かけるとちょっとテンションが上がります。
いつ見てもカッコいい!
ホワイトシェパードも飼っている人は多くないですが時々見かけます。
やっぱり素敵!
今でも好きな犬種です。
では今でも飼いたいか?と聞かれると、
いやぁ・・・無理かな(―_―;)
獣医師になって動物病院で働き始めると、ジャーマンシェパード含め、大型犬は飼うのが大変だと痛感しました。
何が難しいと感じるか挙げて行きます。
壁① 金銭面
ちょうどもう少ししたら私の勤めている動物病院ではフィラリアの予防薬を買いに来る方が増えます。通年でやっている人もいますが。
フィラリアの薬を処方していて毎年感じます。
小型犬に比べて大型犬は金額がかかります。
フィラリア薬だけでなく、病気になって薬を処方する時も同じです。
動物は体重で薬の量が変わるので、体重3kgの犬に処方するのと30kgの犬に処方する時では10倍の差があります。
薬も色々なので単純に金額も10倍という風にはならないですが、物によってはなり得ます。
例えば1つ薬を思い浮かべてシミュレーションしてみます。
その薬を処方するとして2.5kgのチワワなら薬代が1日あたり45円で済むのに対し、例えば25kgのラブラドールになると1日あたり450円かかります。
それを1か月飲ませることになったら…
チワワ 1か月1350円。うんうん、全然払える金額です。お財布のダメージ低いです。
ラブラドール 1か月13500円。う・・・なかなかの金額。ダメージ大きい。
ペット保険入っておけばよかった!となりそうです。
大型犬は高くなるので私もなるべく安くなるように薬を選択したりします。なので上記のような大差は出ないことが多いですが、それでも薬によっては選択肢が少ない場合もあり、高額になるのが避けられないということも。
25kgならまだましな方です。
体重60kgだったら?? かなりの金額がかかります。
お金がかかるのは薬だけではないです。
手術となると小型犬よりも大型犬の方が金額が大きくなります。避妊手術も去勢手術もそうです。
医療関係だけではなく、食事代だってかかります。小型犬と大型犬では食べる量が全然違います。
ホテルに預けるとなっても、ホテル代は大型犬の方が高いです。
サロンにシャンプーやカットを依頼する時も犬種にもよりますが大型犬の方が高いです。
壁② 介護面
まず大型犬は小型犬に比べると短命なことが多いです。
犬種によっては病気も多いです。
私が飼いたいと思っているジャーマンシェパードも病気が比較的多い犬種かなと感じます。
腫瘍や整形外科疾患などがよくみられます。
腫瘍でも、整形外科疾患でも、もし大型犬が歩けなくなってしまうと介護がとても大変です。
小型犬を抱っこして移動させるのは大変ではないです。寝返りさせるもの簡単にできます。
しかし、大型犬を寝返りさせりのは体力がいります。
寝返りさせないで同じ面を下にして寝続けると体の重さで肺がつぶれてしまいます。
褥瘡だってできやすくなります。
寝返りだけでなく、さらに抱っこして移動となると女性には難しい場合もあります。
住んでいる家の玄関が階段を登った所にあったら?
「一人では運べません」となることもあります。
30kgくらいのレベルならまだ女性でも運べるかもしれませんが、60kgだったら?
その犬が肥満体型だったら?
ある時、超肥満体型のゴールデンレトリーバーの往診に行ったことがあります。
腫瘍の末期で自力ではなかなか歩いてくれない子でした。体重は60kg。
飼い主さんが「移動させたい」と言いました。
毛布に乗せてヒーヒー言いながら引っ張って移動させたのを覚えています(笑)大変…。
大型犬というだけでも大変なのに、肥満は良くないです。
壁③ 住環境
大型犬を飼うとなると、できればある程度の広さを確保できる家が必要です。
それから物を破壊されることがあります。
吠える声も迫力があります。
それでもラブラドールやゴールデンサイズなら通常の家でも飼育可能かなと思います。
グレートデン、セントバーナードくらいのサイズになると家も大きくないと難しいのかなと感じます。
ある時、下痢のグレートデンの往診に出かけました。
飼い主さんも「下痢すると処理が大変で…」とおっしゃっていました。
超大型犬になると便の量がすごいです。
水下痢されると悲惨…。
お庭のあるお家でしたが、庭で大量の水下痢をしているのを見た時に確かに処理が大変だわ…と思いました。
庭だからまだマシですよね。これを家の中でやられたら…。
このお家はグレートデンを複数頭飼っており、犬用の部屋がある豪邸だったので大丈夫そうでしたが、普通の家ではなかなか大変そう。
超大型犬は飼えないなぁ…と痛感させられました。
壁④ 運動量
大型犬になると運動量も必要になります。
小型犬なら散歩に行きませんとおっしゃる飼い主さんも時々います。
大型犬になると散歩行きませんという訳にはいきません。
しかもふだん見ていて感じるのは、大型犬は歩かないでいるとすぐに足が弱ってしまいます。
高齢の大型犬を1日ケージに入れているだけで、立ち上がれなくなったりします。
しっかり毎日散歩させることが必要になります。
壁⑤ しつけ
犬種にもよるのですが、しつけをしっかりしておかないとトラブルを起こしたり、将来病気になってしまった時に困ることがあります。
とくに臆病な性格の子は追いつめられるとパニックになり、攻撃性が出ることがあります。
例えば人に噛みつくような性格に育ってしまった場合、小型犬ならまだ制御が難しくないかもしれませんが、噛みつく大型犬を制御するのはかなり危険を伴います。
たまに、「この子は私にも噛みつきます」とおっしゃる飼い主さんがいます。
飼い主さんでも噛まれる場合、獣医師はもっと噛まれます。
大型犬に噛まれるとなかなかのダメージを受けます。
大型犬が病気になり、検査や治療をする必要がある時、その子がフレンドリーな性格の持ち主か、攻撃性のある性格かでは、検査・治療に差が出てしまうこともあります。
小型犬なら多少噛みつこうとも抑えて採血やレントゲン撮影ができますが、大型犬は力が強いので抑えきれずに検査や注射をうつことさえも難しい場合があります。
力が強いからこそ、小型犬よりもしつけは重要です。中型犬でも抑えきれないことがあります。
獣医師になり、以上のような壁があることを痛感した今、「私には大型犬は飼えないなぁ…」と感じています。
お金持ちで、住んでいる家も大きくて、時間的にも余裕があって・・・そんな生活を送れるようになった時は飼ってみたいと思います。
どんな動物でもそうですが、飼いたいと思ったらその動物がどんな動物なのかリサーチすることが大切です。
どれくらい長く生きるか、どういうものを食べるか、どういう生活をするか、どんな性格か、どんな病気になりやすいか、病気になった時に診てもらえる病院はあるか、どれくらい飼育費用がかかるか、万が一飼育できなくなった時に代わりに飼ってくれる人はいるか等々、考えておくべきです。
考えれば考えるほど壁は高いかもしれませんが、動物のいる生活はやはり楽しいです。
決して動物を飼うなと言いたいわけではなく、色々壁はあるかもしれませんが、それらをぜひクリアして動物を飼ってほしいと思います。
世の中、無責任に動物を捨てる人がいます。
動物愛護センターへ行って話を聞いたことがありますが、信じられない理由で動物を捨てる人もいます。
理由は色々あるかもしれません。
不測の事態が生じて泣く泣く手放す人もいると思います。
でも基本は飼い始めたら最後まで責任を持って動物を飼う人であってください。
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