猫の尿検査をしたいけれど、どうやって尿を取ればいいの?
飼い主さんからよく聞かれる質問です。
今日はいくつかの方法をご紹介したいと思います。
砂のトイレでしか排尿しない猫で特に警戒心の強い子では難しいかもしれませんが、諦めずに頑張ってみてください。
採取容器の準備
まず、尿検査は基本的に尿を液体の状態で動物病院へ持って行く必要があります。
時々排尿してあるペットシーツを持ってきたり、砂に吸収された状態で持ってくる人がいますが、それでは検査できません。
血尿が出て尿の色を目視で確認するだけならそれでも構いません。
尿のPhを調べるだけという程度ならペットシーツに吸われていても乾いてさえいなければ調べられるかもしれませんが、ちゃんと検査する場合はなるべくゴミの混じっていない液体の状態である必要があります。
尿を何に入れて持って行けばいいですか?と聞かれることがありますが、一番楽なのは動物病院で容器を貰うのがいいかもしれません。
動物病院まで取りに行くのが面倒な場合は家にあるものでOKです。
その時に意識してもらいたいのは、とにかく雑菌の付いていないきれいな容器を用意してください。
容器自体が汚れている場合、誤診に繋がることがあります。
ふだん見ていると紙コップ、きれいに洗った小瓶、お弁当に入れる醤油さし等を使用している方が多いです。
きれいなビニール袋に直接入れて持ってくる方もいます。
とにかく尿が液体の状態で、容器の汚れで尿が汚染されなければ大丈夫だと思います。
シリンジを使用する場合は、シリンジで尿を吸ったらそのままの状態で動物病院へ持って行けばOKです。別の容器に移し替える必要はないですよ。
ピストン部分さえ押さなければ吸った状態で逆さまにしても尿はこぼれませんので安心してください。
採尿量
尿検査の為にはどれくらいの尿量が必要か。
尿検査というと、ほとんどがスティック検査(尿のPh、尿比重、尿糖、潜血などをみる検査)と尿沈渣(顕微鏡で結晶、細菌、上皮細胞、円柱などを観察する検査)のことを言っていると思います。
健康診断で尿検査をする場合もこれが当てはまります。
その場合は2ccもあれば十分検査できます。
尿蛋白が引っかかっている子で尿蛋白/クレアチニン比(UPC)の検査をする場合も2ccもあれば検査できます。
尿中の細菌を培養してその細菌に効く抗菌剤を探す薬剤感受性試験を行う場合は5~6ccくらい必要です。
ただし、動物病院によって利用している検査機械・検査会社が異なるので、多少条件が違うかもしれません。
何を目的にした尿検査か、その検査にはどれくらいの尿量が必要か、採尿前にかかりつけの獣医師に確認しておいた方が無難だと思います。
採尿方法
続いて本題の採尿方法です。犬と違って猫の採尿は苦労されている方が多いです。
①ペットシーツを裏返す
ペットシーツを使用している場合はペットシーツを裏返してしまえば尿が吸収されずにシーツの上に溜まります。
溜まった尿をスポイトなどで採取すればOKです。
動物病院へ事前に行っている場合は、尿検査用の容器を貰える場合が多いと思いますので聞いてみてください。
私の勤めている病院では滅菌シリンジをお渡しして採取してもらっています。
システムトイレを使用している場合も一番下に裏返したペットシーツを敷いておけばOKです。
システムトイレで採尿する場合は上の砂を一度片づけておくか、量をなるべく減らしてください。
できれば通り抜ける網部分もきれいに消毒しておいた方が雑菌が混じりにくいです。
②排尿中に後ろから採取
猫が排尿しているところをおたまかスプーンなど、何かで受ける一番単純な方法です。
猫が警戒して排尿しないこともあるので、排尿が始まってからそっと容器をお尻の下へ。
この時、小さめのおたまでも良いですし、先端にスポンジが付いた採尿用の道具が売られているのでそれを使用しても良いかもしれません。↓
③どうしても難しい場合
最終手段は“動物病院で採尿してもらう”です。
尿道にカテーテルを入れて採取する方法、膀胱穿刺で採尿する方法があります。
膀胱に多量に尿が溜まっている場合は膀胱を圧迫して排尿させることもありますが、どれも自然排尿と違って本人たちには少し嫌な方法です。
また、猫をしばらく預かって排尿するのを待つこともありますが、慣れない環境ではおしっこを我慢してしまう子もいます。
採尿時の注意点
スポイトやシリンジで尿を吸う時に注意してほしいのは、溜まった尿の上澄みだけを吸わないようにしてください。
例えばストルバイトやシュウ酸カルシウムなどの結晶成分が尿中に含まれている場合、結晶は重いので下に沈みます。
尿を採取する時に上澄みだけを取ってしまうと、結晶成分を取り逃がす可能性があります。
あとはとにかくゴミ(トイレの砂など)が混じらないように気を付けましょう。
そして尿が取れたらなるべく早く動物病院へ持って行きましょう。
せっかく苦労して取れた尿をそのまま常温で放置してしまうと、中で雑菌が繁殖してしまい正確な結果が出ません。
尿は新鮮なほど良いです。
採尿してすぐに検査してもらうのがベストです。
すぐに動物病院に持って行けないとしても、できればその日のうちには持って行ってください。
たとえば前日の尿となるとやはり結果に影響が出る可能性が高いです。
持って行くまでに数時間かかる場合は、常温で置いてしまうと雑菌が繁殖してしまうので、冷蔵しておくことで雑菌の繁殖は抑制できます。
ただし、時間が経つほど結晶化してしまうことがありますので、尿石症の既往がある場合は特に早く動物病院へ尿を持って行くに越したことはないです。
尿検査は自然排尿で取れさえすれば猫の体に負担をかけずにできる検査です。
尿石、尿蛋白、潜血、比重、尿糖、Phなどを見て何か病気が見つかることもありますし、病気の予防につながることもあります。
健康な子でも定期的に尿検査をおこなうことをおすすめしたいです。
費用は病院によって前後すると思いますが一般的な検査であれば1000円~2000円程度ではないかと思います。
この春に健康診断の一環としていかがでしょう?
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