動物病院小話 採血を成功させるために大切なことは採血者の腕よりも…

動物病院

こんにちは。

本日は動物病院の小話をしたいと思います。

採血に関してのお話です。

動物病院で働いていると毎日のように犬猫から採血をします。

採血されている犬のイラスト

ちなみに犬猫はどこから血を採るの?と聞かれることがよくあるのですが、採血部位は大きく3カ所あります。

首、前肢、後肢です。

動物病院によって、獣医師によって、必要な血液量によって、動物の状態によって、採血部位は違います。

例えば輸血用に量が多く必要な時は首(頚静脈)から採血することが多いかもしれません。動物病院によっては量に関わらず常に頚静脈から採血する所もあるようです。

私はふだん後肢か前肢から採血しています。

前肢は橈側(とうそく)皮静脈(ひじょうみゃく)、後肢は犬なら外側(がいそく)(ふく)(ざい)静脈(じょうみゃく)(後肢の外側)、猫なら内側(ないそく)(ふく)(ざい)静脈(じょうみゃく)(後肢の内側)を使うことが多いです。

肥満気味の短足犬(太ったダックスフントとか)の場合は外側伏在静脈が脂肪に埋もれて全く浮かないことも多く、後肢の内側の血管からの方が簡単に採血できることもあったりします。

採血者が右利きなら犬は右後肢、猫は左後肢を使います。採血者が左利きなら犬は左後肢、猫は右後肢を使います。

私は前肢よりも後肢から採血する方が好きですが、動物によっては後肢からの採血よりも前肢から採血した方が大人しくしていられる場合もあるので、そういう子は前肢から採血したりしています。

人の採血は駆血帯を使用して看護師さんやお医者さんが一人で採血しますよね。

犬猫から採血する場合はほとんどの場合、看護師さんなどに体をおさえてもらい、手で血管を駆血してもらって採血します。

採血がスムーズにできるかどうかは実は採血者の技術よりも動物をおさえる側の人(保定者)にかかっていると言われています。

これは私個人が言っているわけではなく、獣医業界では割と有名な話です。

採血が成功するかどうかは採血者に2割、保定者に8割かかっていると言われています。

実際にそんな感じです。

かけだしの頃は私の保定がいまいちで先輩方と動物に迷惑をかけたことが何度もあります・・・。

とはいえ動物も動く子は必死に動くので、ベテランの獣医師や看護師でも一人でおさえきれないこともよくあります。

私の職場では診察室で飼い主さんの目の前で採血することも多いのですが、時々飼い主さんが採血時に「私が体をおさえましょうか」と言ってくださいます。ですが、保定者の仕事は簡単に見えて結構コツのいる仕事です。

動物の体が動かないようにおさえつつ、血管の走行を理解し駆血しなければいけません。

針を刺した瞬間に足を引こうとする子が多いので、足を引けないようにしっかり保定する必要があります。

採血する側の人間よりも保定する側の方が大変です。

保定者に8割かかっていると言っても納得できます。

動物からしたら飼い主さんに付いていてもらった方が安心するという子もいるので、その場合は体の保定はプロに任せ、顔の方だけなだめてあげると良いと思います。

逆に飼い主さんの姿が見えているだけで助けを求めて暴れる子もいるので、そういうケースでは飼い主さんには一度診察室から出てもらうこともあります。

飼い主さんが傍にいないと怖がって暴れる子、飼い主さんがいると助けを求めて暴れる子、飼い主さんがいなくなると固まって大人しくなる子など色々なので、採血をスムーズに終わらせるためにも獣医師・看護師の指示に従うのが一番です。

大型・中型犬の場合は体や顔だけ飼い主さんにおさえてもらったりすることも私はありますが、採血部位の保定はプロに任せましょう。

中には血を見るのが苦手という飼い主さんも結構いらっしゃいます。
その場合は「見たくないので外で待ってます」と遠慮なくスタッフに伝えましょう。

動物病院で採血がスムーズにできた場合、採血者が上手に見えるのですが、実は保定者が大きく貢献しているのです。保定者様様です。

もし動物病院へ行って採血の現場に遭遇することがあれば、採血者よりも保定者に注目してみると面白いかもしれません。

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