危険!猫に解熱鎮痛薬アセトアミノフェンは絶対与えないでください!

新型コロナウイルスが日本で発生してから解熱鎮痛薬を使用された方、処方された方、ドラッグストアで買った方、知人に貰った方、多いのではないでしょうか?

コロナワクチン接種後に熱が出て服用したという話もたくさん聞きました。

ニュース番組なんかでも有効成分に「アセトアミノフェン」が入っているものをおすすめしているのを見かけたり。

アセトアミノフェンが入った薬を飲んでいる人が私の周りは多かったような気がします。

人の病院でもアセトアミノフェンはよく処方される薬のようです。

私も何年も前ですが、腹痛で病院に行きました。

多分ストレスによる胃炎だったのかなと思ってます。

その時に痛み止め、胃粘膜保護薬の他に、アセトアミノフェンを有効成分とする解熱鎮痛薬を処方された経験があります。

37℃ちょっとの微熱があったので解熱鎮痛薬が処方されたんだと思いますが、解熱薬を飲むほどでもなかったのでほぼ飲まず。

その時の経験もあって、そのアセトアミノフェンの薬に対しては簡単に処方される薬なんだなという印象があります。

ドラッグストアで売られている風邪薬にもアセトアミノフェンが使われていることがよくあり、珍しい成分ではありません。

ところで、このアセトアミノフェンですが、猫には禁忌とされています。

猫が薬を誤食するということはあまり無いと思いますが、猫が家にいる場合は間違って口に入ってしまわないように要注意です。

体が熱いからと、自己判断で解熱薬を猫に投与するなんてことも絶対にしないでください!

稀に人の解熱薬を自己判断で動物に投与しましたという方がいますが、物によっては大変なことになるのでおすすめしません。

猫にアセトアミノフェンがダメな理由

どうしてアセトアミノフェンが猫に禁忌なのかというと、代謝能力が低いため中毒を起こしてしまうからです。

薬理学の話になりますが、アセトアミノフェンは肝臓でチトクロームP450(CYP450と書いたりします)という酵素を介して代謝され、グルクロン酸抱合や硫酸抱合によって解毒されます。

しかし、猫はグルクロン酸抱合能や硫酸抱合能が他の動物と比較してかなり低いため、少量であっても解毒しきれずに中毒を起こしてしまうという訳です。

◆どんな症状が出る?

猫ではメトヘモグロビン血症などの血液毒性が生じやすいと言われています。

赤血球に影響を及ぼし、赤血球のヘモグロビンがメトヘモグロビンに変換されるため、酸素の運搬が効率的に行えなくなります。

このようなメトヘモグロビン血症の猫では尿の色が黒っぽくなります。

貧血、チアノーゼ、元気低下、嘔吐、呼吸障害、赤血球が壊れることによる黄疸、多量摂取の場合に肝障害などが見られる可能性があります。

猫ほどではありませんが、犬も中毒になることがあります。

犬の場合は、肝細胞壊死による嘔吐、元気低下、震え、食欲不振などがメインで見られ、中程度~多量の摂取でメトヘモグロビン血症、チアノーゼなども生じます。


◆中毒量

犬で150mg/kg以上、猫で50~60mg/kg以上のアセトアミノフェンを摂取すると中毒が発現すると言われていますが、資料によっては犬で50mg/㎏、猫で10mg/㎏と記載されているものもあります。

処方薬の中には1錠で500mgのアセトアミノフェンを含んでいる製品もあります。

500mgの錠剤なら1錠摂取しただけでも猫の場合は死亡する危険があります。

◆摂取してしまったら

摂取して1時間以内であれば、まだ薬の成分が胃に残っている可能性を考えて吐かせることをおすすめします。

いずれにしても、アセトアミノフェンを含んだ薬を飲んでしまったと気づいたらすぐに動物病院へ行くか、少なくとも連絡を取ってください。

その際は、摂取した薬1錠に何mgのアセトアミノフェンが含まれているかを獣医師に伝えてください。

◆おわりに

薬は種類が膨大なので覚えるのが大変です。

動物種によって使用できる薬が違ったり、同じ薬でも使用量が違ったり、成分名と商品名が異なるので、2倍覚えなきゃいけなかったり。

ちなみに、人の場合は医師が処方箋を書き、薬剤師が薬を調剤する分業型ですが、動物病院の場合は処方も調剤も獣医師が行ったり、看護師さんが薬を用意してくれたりします。

使用する薬は動物用医薬品もあれば、人用の薬を動物に応用することも多々あります。
有効成分が同じ薬を比較すると、動物用医薬品より人の薬の方が値段が安いです。

新薬も次々発売されるので、常に情報収集が必要です。

ちょっと患者さんが途切れた暇な時間があると薬の資料を読んだりすることは珍しくないです。

よく聞く言葉かもしれませんが、薬は上手く使えば病気を治してくれますが、使い方を間違えると毒にもなります。

しっかり知識を身に付けて使用しないと怖いです。

薬の知識に限らずですが、勉強しても勉強しても、まだまだ勉強することがあります。

獣医師は一生勉強しなければいけない職業だと言いますが、ホントその通り。

頑張ります。

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