獣医師という職業①

獣医師の仕事

今回は獣医師という職業についてお話してみようと思います。

私が動物病院で犬猫の診療に携わっている獣医師なので、動物病院で働く獣医師の話に一部偏ります。

ですが動物病院以外にも様々な分野で獣医師は働いています。

はじめは獣医師の活躍分野や獣医師免許を取るまでの道のりについて紹介します。

獣医師にも色々な人がいると思うので、これは一つの例として捉えてください。

将来獣医師になりたいと考えている方がいたら参考になればと思います。

獣医師の活躍分野

獣医師と言うと多くの方が想像するのは私のように動物病院で働く小動物臨床獣医師かもしれません。

確かに、大学を卒業すると動物病院に就職する人は多いです。

ですが、動物病院以外でも獣医師は様々な分野で働いています。

例を挙げてみると、
国家公務員、地方公務員(保健所、家畜保健衛生所、食肉検査所など)、牛や豚などの家畜の診療を行う大動物臨床獣医師、動物園・水族館、製薬会社、競走馬の獣医師、保険会社、検査会社、大学講師などなど多岐にわたります。

身近なことだと、スーパーで並んでいるお肉は獣医師が検査しています。

獣医師免許取得の道のり

獣医師免許を取得するためには、高校を卒業後、獣医大学で6年間勉強します。
獣医は医者と同じで6年制大学になります。

大学で必要な単位を全て取ったら、6年生の2月中旬に2日間に渡って実施される獣医師国家試験の受験資格が得られます。

その試験に合格すれば、4月から獣医師として働くことができます。

獣医師免許証は運転免許証のようなカード型ではなく、表彰状みたいな形をしています。
大きいので携帯していません。

働き始める4月1日時点では免許証は手元にありません。

少し遅れて黒い筒が家に届きます。

免許証が丸まって中に入っています。

私の免許証は今も筒の中で丸まってますね…。虫に食われてたりして…。

免許証を手に入れるまでの道のりは長いようで、実際はあっという間な感じでした。

大変かと言われると、それなりに大変です。
精神的にも、肉体的にも、金銭的にも…。

途中で退学してしまう人も数名いましたし、留年する人も毎年数名いました。

獣医大学はたくさんある?

獣医師免許が取得できる大学は全国に17校あります。

国公立大学…11校
 北海道大学
 帯広畜産大学
 岩手大学
 東京農工大学
 東京大学
 岐阜大学
 鳥取大学
 山口大学
 宮崎大学
 鹿児島大学
 大阪府立大学

私立大学…6校
 日本獣医生命科学大学
 麻布大学
 日本大学
 北里大学
 酪農学園大学
 岡山理科大学

私が受験した時は岡山理科大学はまだ無かったので16校でした。

偏差値は大学により少し差がありますが、60を超えているところが多いかなと思います。
倍率は下がってきているような気がします。


学費はどれくらいかかる?

学費は国立なら6年間で350万円程度かもしれませんが、私立大学だと6年間で1300万円は超えます。
高いです。

私は奨学金を借りました。
奨学金を借りている人は多かったです。

現在も返済真っ最中です。完済するまであと何年かかるやら…。

大学に払う学費以外に、在学中にたくさん教科書も買います。

獣医学書は需要が少ないせいだと思いますが、医学書と比較して価格が高いです。

もちろん医学書でも高い本はいくらでもあると思いますが、本屋さんに行って医学書コーナーの本が1冊3000円くらいでもたくさん出ているのに対し、獣医学書は1冊1万円超えなんて当時は普通でした。

私が大学6年生くらいにコアカリキュラムというのが始まって、コアカリキュラム準拠と書かれた教科書を作り始めてくれたのですが、その教科書は比較的安かったです。

6年間で教科書にいくらかかっただろう…??

↓学生時代に買った教科書の一例です。金額は当時のおおよその金額です。

解剖学…上下巻で2冊あり、1冊9000円
生理学…6000円
組織学…10000円
病理学…総論8000円+各論12000円
薬理学…12000円
    後から出たコアカリキュラムの教科書だと5000円
内科学…25000円←買った中ではこれが一番高かったかも!でも役に立ちました。
繁殖学…10000円
微生物学…9000円
他にもたくさん買いました。

でもこれから入学する人はもう少し安く済むかもしれません。安い教科書が出てるので。
でも教科書の種類は増えているかも…。
うーん…やはりそれなりに教科書代には覚悟しましょう。

先輩から譲ってもらってる人もいましたよ。

今ならメルカリでも買えるかもしれないですね。

その他、授業関係では、白衣、解剖道具、つなぎ、スクラブ(よく医療ドラマで手術の時に着てる服です)などが必要でした。

あとは生活費です。
実家から通える場合はいいですが、大学が限られているので全国から人が来ます。

大学の近くで一人暮らししている人が多かったです。

家賃、食費、光熱費、サークル活動費などなど…かかります。

私の家は大してお金持ちではなかったので、めちゃめちゃ節約して生活していました。

1か月の食費は1万円くらいに抑えていました。

わざわざちょっと遠い安いスーパーまで歩いて行ったりもしてました。

電気代も安い月は1000円以下でしたし、高い月でも1000円台でした。

最近は光熱費が値上がりしているので、今となっては無理な数字かもしれないです…。
光熱費の値上がり恐ろしすぎます…。

当時から家計簿をつけていたので、今も記録が残っています。
見返してみると面白い…。

アパートの契約更新をするときはダメもとで値下げ交渉もしました。
ちなみに3000円安くしてもらえました。

話し出すと節約生活だけで一つの記事が書けそうです(笑)

仙人か!って突っ込みたくなるような節約生活してましたね。

節約は今でも得意かも。

切りがないので、話を先に進めます。


獣医師国家試験の合格率は?

新卒であればだいたい90%前後の合格率です。

しっかり勉強しないと試験に落ちます。

ですが、6年間ふつうに授業に出席して話を聴いて、期末テストをクリアして、国家試験前に周りの人と一緒に勉強すればあまり心配しなくても合格できます。

授業をサボりがちだったり、期末テスト前には過去問しか勉強しなかったり、国家試験前に一人で勉強していたりすると落ちやすい印象があります。

国家試験は一年に一度だけです。

一度試験に落ちてしまうと、一年後までモチベーションを保つのが大変だと思います。

そのせいか既卒生の合格率は毎年低めです。

新卒の合格率が90%前後あるのに対し、既卒生は40%くらいだったりします。

獣医師の人数は?

2年に一度、獣医師免許を持つ者は今どこで何をしているかを農林水産省に届け出る義務があります。令和4年度も届け出の年でした。

農林水産省のHPに届け出数のデータが掲載されています。

今回の届け出分のデータはまだ公開されていないので、ひとつ前のデータを引用します。

それによると、令和2年12月31日時点で獣医師の数は40,251人だそうです。

私が獣医師免許を取った時に比べて5000人くらいは増えている気がします。

その中で個人診療施設で犬猫の診療に携わる獣医師は16,203人です。

獣医師というと一番最初に動物病院の獣医師を思い浮かべる方は多いかもしれませんが、占める割合は実は獣医師全体の半分以下なんですね。

獣医師総数の内訳は以下のようになっています。

国家公務員525人、都道府県職員6889人、市町村職員2067人、民間団体職員7825人、個人診療施設18,401人、獣医事に従事しない者4396人。

ちなみに、厚生労働省のHPに他の医療系職業の人数が掲載されていたので参考までに載せると、令和2年12月31日時点では、医師339,623人、歯科医師107,443人、薬剤師321,982人だそうです。

医者と比べるとかなり数が少ないです。

今回はここまでにします。

次回、動物病院で働く獣医師の仕事環境について話していきます。

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