健康診断で動物病院に来院する子は1年を通してまぁまぁ多いです。
私が担当する以外の子も含めると毎日のように見かけます。
健康診断は血液検査、レントゲン検査、尿検査、糞便検査、超音波検査、心電図検査などなど、どの程度の内容を実施するかは飼い主さんと相談して決めます。
一般的な身体検査(聴診や視診など)は基本的にどの子も実施するものとして、それ以外で最も多いのは血液検査です。
私は健康診断コースとして行う場合は最低で血液生化学16~20項目くらいを外部の検査センターに血液を送って検査してもらうことが多いです(病院内で検査することもできますが、外部の検査センターへ依頼した方が安く検査ができます)。
血球検査やホルモン検査(甲状腺ホルモンなど)、犬糸状虫検査などをセットにして依頼することもよくあります。
今回は、健康診断を受けた子のうち、検査に引っかかる子がどれくらいいるのか調べてみました。
と言っても、様々な年齢の子が健康診断を受けにやって来ます。
今回は年齢が10歳以上かつ生化学16~20項目を調べた犬猫に限定し、私が直近で担当した30頭分の健康診断データを見返してみました。
ここでの「引っかかる」という定義は基準値を外れた項目が1つ以上あった子を指しています。
30頭のうちどれくらいの子が引っかかったと思いますか?
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答えは、
25頭でした。
パーセントにすると約83%です。
健康診断として検査しているので、検査実施日に具合が悪い訳ではありません。
ですがこのうち追加検査や治療が必要なほど数値が悪かった子も数頭いました。
どういった項目で引っかかるかはそれぞれですが、腎臓、肝臓、中性脂肪などが特に多いように感じます。
検査センターからのパンフレットなどでは、「1歳を過ぎたら一年に一回健康診断を受けましょう」と書いてあったりして、動物病院としても同じようにお知らせしたりはしているのですが、実際のところ1歳~3歳くらいの若いうちは血液検査で引っかかることはそんなに多くないです(ゼロではないですが)。
中年以上はポロポロ引っかかる子が出始めます。
シニアになるとやはり何かしら引っかかる子が目立ちます。
今回のように10歳以上にもなると引っかからない子の方が珍しくなってきます。
ちなみにレントゲン検査など、検査内容を広げてみると当たり前ですがさらに引っかかります。
レントゲン検査では若いうちでも何かしら気をつけた方がいいポイントが見つかることがよくあります。
異物を食べていることが偶然見つかったり、骨の異常が見つかったり、結石が見つかったり、思った以上に便秘だったり。
もしもお家の犬猫が10歳を超えたけれど健康診断に最近行ってないぞという方はぜひ行ってほしいと思います。
早期発見で悪化を防げることがあるかもしれません。
もちろん10歳に満たない子でも検査に引っかかることは珍しくないので健康診断を受けておくことはおすすめしたいです。
例えば腎臓は一度悪くなると元に戻らないことが多い臓器です。少しでも早く発見し、悪化させないことが治療目標になります。
健康診断で初期の段階で発見できれば、まずは食事を見直すという程度でも悪化を防げるかもしれません。
1歳を過ぎたら1年に1回健康診断を受けることはもちろんすごく良いと思います。
若いうちから検査していると比較ができることも良いポイントです。
逆に最低限何歳を超えたら健康診断に行くべきか?
もしそう聞かれたら、7歳を過ぎたら健康診断に行ってほしいと私は思います。
今回の私の調べでは、10歳を超えて健康診断に行くとほとんどの子が何かしら引っかかるので、その時点ですでに病気の発見が遅れてしまう可能性があります。
なのでシニアの範囲に入ってくる7歳あたりを過ぎたら健康診断を受けてほしいです。
とは言え、健康診断は万全なものではありません。
年を取ってくると半年に1回健康診断を受けている方も多くいらっしゃいます。
悪い所が出てくると3か月に1回というように、間隔を短くして検査に来る方も多いです。
それでも悪性腫瘍など、進行が早い病気は発症から1か月とか3か月という短い期間で一気に悪くなって亡くなってしまうので、「半年前に受けた健康診断では問題が無いと言われたのに…」という状況が発生します。
健康診断を受けているから大丈夫と思い込むのは危険です。
調子が悪いと感じたらその都度動物病院で診察を受けることが大事です。
逆に、元気だと思っていたのに健康診断で腫瘍が発見されたということもあります。
腫瘍にもよりますが、やはり早く見つけた方が早く治療に入れるので余命は長くなります。
もしも最近犬猫に健康診断を受けさせていないな~という方は、この記事を見たのをきっかけに受けに行ってみませんか?
動物病院によって、予約が必要な病院と不要な病院があると思うので、お近くの動物病院に問い合わせてみてください。
健康診断で採血する場合はできれば12時間(最低でも8時間)食事を抜いた状態で行くようにしてください。
予め動物病院に問い合わせたら絶食時間の指示があると思います。
食後に行くと検査結果に影響が出ることがあります。
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