こんにちは。
夏の暑さ尋常じゃないですね。熱中症にはお気をつけくださいませ。
さて、今日のお話は時々目にする寄生虫のお話です。
最近も駆虫薬が欲しいという問い合わせがあったりしました。
タイトルの通り、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)です。
聞いたことがあるという方もいるかもしれませんね。
珍しい寄生虫ではありません。
よく以下のような稟告があります。
「寝床に白い粒々が落ちている」
「白胡麻みたいなものが落ちている」
「うんちに白い粒々がついている。しかも動いている」
「お米みたいなのが猫のお尻についていた」
このような話を聞くと、「あ、きっと瓜実条虫だな」と連想します。
どのような寄生虫なのか見て行きましょう。
瓜実条虫とはどんな寄生虫?
世界中に広く分布している寄生虫で、条虫の仲間です。
サナダムシをイメージしてもらうと条虫のイメージが湧きやすいかもしれませんね。

成虫の体は「片節」というものが連なってできており、時に100個以上の片節が形成され、長さは10〜80cmくらいになります。
その片節ひとつひとつが瓜の種のような形をしているので瓜実条虫という名前がついています。
と言っても飼い主さんから「瓜の種」という表現をされたことは無いですが(^^;)
「白胡麻」「米粒」という表現をされる飼い主さんが圧倒的に多いです。
ちなみにこちらはキュウリの種です↓ ちょっと似ているかな~?

片節の中には卵嚢という袋があり、卵嚢の中には20個くらい(もうちょっと少ない場合もあります)虫卵が入っています。その虫卵の中に幼虫(六鉤幼虫)が入っています。
こちらは顕微鏡で見た瓜実条虫の卵嚢です↓ 中に20個くらい虫卵がありますね。その中をよく見ると幼虫が動いているのがわかります。
気持ち悪いと思いながらも、あまり顕微鏡で見る機会は多く無いのでまじまじと観察してしまいました(^^;)
どうやって感染する?
イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ、ハジラミが中間宿主といって瓜実条虫の幼虫を持っています。
(ノミの幼虫が瓜実条虫の虫卵を摂取し、虫卵から六鉤幼虫が遊離し、ノミの成長と共に瓜実条虫も成長し、ノミが成虫になってから擬嚢尾虫という形態になる。←スルーしてくれて構いません)
犬や猫などの終宿主が瓜実条虫を持ったノミを食べてしまうことで、消化管に寄生します。
瓜実条虫は犬猫の消化管の中で成長し、虫卵の入った片節を糞便と共に排泄し、その虫卵をまたノミの幼虫が摂取することで感染環が回ります。
感染するとどんな症状が出る?
無症状の場合が多いですが、肛門を痒がったりすることもあります。
たくさん寄生している場合は下痢や嘔吐が出ることがあります。
子猫や子犬の場合は重症化する可能性もあるので注意が必要です。
どうやって診断するの?
成虫の片節は成熟すると千切れて便と共に排泄されます。
便の表面や肛門まわりについた瓜実条虫の片節を見つけて診断します。
寝床に片節が落ちていることもあります。
回虫卵は顕微鏡で糞便を見て検出することがありますが、条虫卵を顕微鏡で見つけることはほとんど無いです。
基本的には目視で片節を見つけることが一般的かと思います。
治療法・予防法は?
駆虫薬を投与することで治療します。
また、同時にノミの駆除も行う必要があります。
予防はノミを食べないようにすること、つまりはノミの予防が瓜実条虫の予防にもつながります。
ノミが発生してしまった場合は掃除機などでお家の中の掃除もしっかりと忘れずに。

瓜実条虫は人にも感染するの?
はい。人獣共通感染症です。
人がノミを食べてしまうと瓜実条虫に感染します。
基本的にはノミをそのまま食べないとは思いますが、例えばノミを潰した時にノミの中にいた瓜実条虫の幼虫が手に付着し、気付かぬうちに口に入ってしまったりして感染する可能性があります。
むやみにノミは潰さないほうがいいかもしれません。ノミを潰した場合はしっかり手を洗いましょう。
また、小さい子供は何でも口にしてしまうことがありますよね。
稀ではありますが、ノミを食べてしまうこともあるのでお家に小さいお子さんがいる場合は注意が必要です。
余談ですが、寄生虫に興味のある方は目黒にある目黒寄生虫館が面白いと思います。
寄生虫を専門に扱う博物館で、入館はなんと無料!詳しくはホームページをご覧ください。
私も一度見学に行きました。
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