犬が寝ている時に尿を漏らしてしまう。原因はもしかすると…

病気

こんにちは。

本日は犬の尿漏れの話をしたいと思います。

「この子最近おしっこを漏らすようになったんです。寝ている所がよく濡れてるんです」

このような悩みを相談されることがあります。

それはもしかするとホルモン性の尿失禁かもしれません。

よくあるのは、メス犬で避妊手術済みの子が、起きている時は平気なのに寝ている時におしっこが漏れるというようなお話です。

本日は尿失禁の中でもホルモン性の尿失禁についてお話します。

そもそも、ふだん尿が漏れ出てこないのは尿道の筋肉(尿道括約筋)が収縮した状態にあるためです。

この筋肉の収縮にはエストロジェンという卵巣などから分泌されるホルモンが関与していると考えられています。

もう少し詳しく言うと、尿道括約筋の表面にはαアドレナリン受容体が存在し、交感神経から神経伝達物質であるノルアドレナリンが放出されると、受容体がキャッチして尿道括約筋が収縮するという流れなのですが、このαアドレナリン受容体の発現にエストロジェンが関与していると考えられています。

そのため、避妊手術で卵巣を摘出したり、年を取ってホルモンが減少したりすると、受容体が減少するので尿道括約筋の収縮能力が落ち、結果として尿が漏れやすくなるという訳ですね。

この場合、ホルモン剤の経口投与などで尿失禁が改善されることから、ホルモン反応性尿失禁と言われています。

避妊済みのメス犬で発生が多く、手術してすぐには発症せず、たいてい手術後1年以上経過してからみられます。

避妊手術を実施する時期が早すぎると発症しやすいとも言われています。

尿が漏れやすいタイミングは、寝ている時やリラックスしている時が多く、昼間に活動している時は漏れないと仰る方が多いです。

治療はエストロジェンを投与します。

基本的には内服薬が使用されることが多いのではないかと思います。私も内服薬しか使用したことがありません。

経口投与で良化が見られることが多いです。

良化したら漸減して休薬できることもありますが、しばらく投与をお休みしていると再発することもよくあり、生涯治療を続ける必要がある可能性があります。

エストロジェン製剤の副作用として発情徴候がみられることがあり、陰部が腫大化し、さらに同居犬にオス犬がいるお家ではオスが反応してしまい大変ですと言われたことがあります。

内服を休止すれば発情徴候は落ち着きます。

その他の副作用としては食欲不振、嘔吐、血中濃度が高くなりすぎるとエストロジェン中毒となり骨髄抑制が生じる可能性があります。

逆に治療を行わなくても尿漏れが続くというだけで、ホルモンの減少により致命的な状況になることはあまり無いと思います。

生活の質は多少落ちるかもしれませんが、一生薬を飲み続けるよりも治療をしないという選択をされる飼い主さんもいます。

中にはホルモン反応性尿失禁ではなく、細菌感染や膀胱炎、腫瘍など別の疾患を発症している、もしくは併発している場合もあるため、可能であれば家で尿を採取し、動物病院で尿検査と診察を受けることをおすすめします。

動物病院へ尿を持って行く際は必ず液体の状態で持参してください。ペットシーツやオムツに吸収されてしまっていると検査が難しくなります。

犬の場合の尿の採取方法は、例えば散歩に行った時などに排尿のタイミングで紙皿などきれいな物で尿を受けるという方法が一般的なのかなと思いますが、なかなかタイミングが難しくて尿が取れないよという方は、ふだん屋内での排尿にペットシーツを使っていたら、ペットシーツを裏返しに置いておけば吸収されずに上に溜まるので、それを採取するという方法もあります。

created by Rinker
¥1,525 (2025/04/19 14:05:19時点 楽天市場調べ-詳細)

おまけ
犬用のオムツを使用している方は多いと思いますが、人間用のオムツを犬に使用することもできます。
その場合は前後を逆に。
人はお腹側でテープを止めますが、犬はテープを背中で止める形にした方が使いやすいです。
だいたいオムツの1/3くらいの場所に穴を開ければしっぽが通せます。
穴を開けると中のポリマーが出てきてしまいますが、気になる方は切り口をガムテープなどで塞いでしまえばOKです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました